夜の演目は、秋山君から『モビィディック』が決まりましたとの声に、 客席から「おおっ〜」と小さな声が漏れ、 一瞬息を呑む。
静まる舞台に穏やかな海の映像だけが映し出されます。 舞台上は海の映像のみで、船はありません。 そして、中央上からゴンドラに乗ってスルスルと船長が登場します。 ライトに照らし出された船長は、すでに上着はなくベスト、白シャツです。 いつしかバックの映像は荒れ狂う海になっていました。 「俺の足を食いちぎった、白い化け物・・・」と始まり、 下手上に町田君が、前の翼君の役で現れるのですが、 その役は、直ぐに上手上にヒカル兄さんが映像となって映り出されます。 兄の台詞声が低く響き、また船長の低い声とが微妙に違い、 それが迫力を増します。 中央上の船長はゴンドラから一瞬外に落ちそうに、 そして海に落ちるように下へ、 白鯨の背中辺りに乗りながら、モリを突き戦うのですが、 荒れ狂う海の中での表現が、手から足先までとても力強く またしなやかに綺麗です。 戦いの後、船長は海に呑み込まれていきます。 客席上では、船員の秋山君と町田君が海へ投げ出されたのでしょうか、 ロープで上から現れてきます。 舞台上だけではなく、スケールがさらに大きく迫力がありました。
最後の「薄荷キャンディー」がさらに凄い声量になって感動しました。 光一さんの歌声がときに強く、ときに甘く切なくて、 この声を記憶に残さねばと聴き漏らさぬように、エネルギーを全部集中したからか、 今夜の演目の記憶がどこかへ飛んでしまっていました。
光一さん、出演者の皆さん、感動をありがとうの気持ちを込めて、 一階はスタンディングで大きな拍手を送りました。
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